台湾で野良犬を保護したとき

先日家の前で野良子犬を保護しました。強運な子で、親切なひとたちとのご縁に恵まれ、すぐに貰い手が決まりました。今回はそのときのことを例に挙げて、台湾で野良犬を保護した場合どうしたらいいかを簡単にご説明したいと思います。出会ってしまったそのときに、参考にしていただければ幸いです。

 ATのマイクロチップリーダー

画像は今年最初の強運犬・Suzanaちゃんです。新竹で幸せに暮らしています❤

●まず、自分がどうしたいか

お医者に見せないとまずそうなケガをしている場合は、保護が可能なら獣医へ行きます(台湾のタクシーは犬OKが多いです)。不可能ならレスキュー可能な保護団体に連絡します。その場合来てくれた団体が面倒を見てくれるようなら丸投げでいいと思います。

母親とはぐれた子犬や子猫の場合、近くに親がいるかもしれないので、まず見守りましょう。クルマを恐れない、道の渡り方を知らないなどあまりに幼すぎる、放置することが生命の危険に繋がりそうな場合はできれば保護、できなければ保護団体に連絡。

ケガをしていない、迷子の可能性が高そうな場合は、保護できそうなら獣医へ行ってマイクロチップの有無をチェック。同時に保護団体やペット関連サイト、FBなどで迷子犬のお知らせがないかチェックします。同時に「犬を保護しています」と投稿もしましょう(これが結構重要です。実際お友達の犬がこれで帰ってきました)

日本で言う保健所に当たる「公立収容所」(台北では「動物保護處」「台北動物之家」と呼ばれています)には絶対に連絡をしないでください!収容所ではボランティアによる譲渡会が行われていますが、原則的に7日、実際は20日程度の拘留の後、動物たちは殺処分されます。動物之家だの動物救助車などと名乗っていますがあの連中に引き渡したらまずアウトです。

※マイクロチップは雑種犬の場合まず入ってないと思ってあまり期待しないで下さい。台湾で扱われているマイクロチップは数種類(主に3種類)あります。マイクロチップリーダーが何社のものかご確認のうえ、必要なら違う獣医でもみてもらうといいです。マイクロチップが皮下で移動している場合もありますので首の周囲、胸、肩甲骨のあたりまでくまなくスキャンして下さい。

保護団体さんに保護をお願いするにしても、重要なのはご自分がどうしたいかです。なにをしてあげられるか、と言い換えることもできます。家が借家で大家はペット不可、日中は仕事があり里親探しのコネもない、でしたらまず連れ帰れませんし、なにもできませんね。涙目にならないでください。その場合にも選択肢はあります。

●飼えない子はどうするか

TNR(Trap Neuter Release)犬/ネコとして扱い、去勢/避妊してからまた元の場所に戻す。どうせ捕まえられるならTRNしちゃってから放せばいいと思いませんか。保護団体に相談するか、自分で費用を持てる方は獣医に連れて行ってやってください。野良動物である旨を伝えると安くなったりします。無料でやってくれる先生もいますので保護団体に気軽に相談してみてください。ご自分でやる場合は獣医さんにTNRであることを告げ、耳の先をちょっと切ってもらうよう忘れずにお願いしてください。

また野良生活をさせるのが忍びないのであれば、獣医やペットホテルに預けて、その間に引き取り手を探します。台湾はペットホテルがとっても安いです!10キロくらいの子で1泊300元くらいじゃないですかね。素敵なお洋服を1枚がまんすればいいのです。

経済的に余裕があるなら、獣医やペットホテルを利用するのはとても便利です。保護した野良動物に家具を破壊されたり汚される心配もないですし、留守中や夜間に鳴かれることもありません。オリに入れっぱなしにするのはかわいそう…と思われるかもしれませんが、ここがその子の人生の瀬戸際だと思えば数日間がまんさせるくらいどうってことないと思います。

以上のことをしてもダメならそれもその子の運命だと思います。ATにももう何年もセンターで暮らしている子がたくさんいます。こういうことはご縁ですので、あまり思いつめずに野良に戻してもいいんじゃないでしょうか。現にいままで野良でやってこられたわけですし。我々人間のほうにも生活がありますから、それを犠牲にしてまでの保護活動は現実的になかなかむずかしいです。特に個人では。

私が先月保護したSuzanaちゃんも、もし今わたしがまだ息子(人間)の育児の真っ最中だったら保護はしなかったと思います。彼女はケガもなく健康だったのでATでの保護は頼めませんでした。家のネコが受け入れず、自宅での保護も難しかったので、TNRを前提としてATで拘留してくれることになった1週間が勝負でした。それ以上のことはできないと思っていました。

このように人それぞれ、保護の基準がありますから、野良動物を保護する場面というのはある意味自分との戦いでもあるような気がします。ホント試されますね。まあ多少の葛藤と苦労で、その子が一生幸せになれるんならと思えば、多少のムリも全然アリで、そのうち家が大所帯になりますから、くれぐれもお気をつけください。